Terumi Morita
June 12, 2026·レシピ

パステル・デ・ナタ

Pasteis de Nata (Portuguese Custard Tarts)|ポルトガル料理

ポルトガルの伝統的なエッグタルト、パステル・デ・ナタのレシピ。

目次(5項)
温かみのあるクリーム色の背景に描かれた、パステル・デ・ナタのイラスト。
レシピポルトガル料理
下準備30分
加熱15分
人数6 人分
難度ふつう

材料

  • パフペストリー 250g
  • 卵黄 6個
  • 砂糖 150g
  • 牛乳 300ml
  • 生クリーム 100ml
  • バニラエッセンス 小さじ1
  • シナモンパウダー 少々
  • 塩 少々

手順

  1. オーブンを250℃に予熱します。これにより、タルトが適切に焼き上がり、表面に特徴的な焦げ目ができます。

  2. パフペストリーを薄く伸ばし、タルト型に敷き込みます。生地が薄すぎると崩れやすくなるため、均一な厚さにすることが重要です。

  3. 卵黄、砂糖、牛乳、生クリーム、バニラエッセンス、シナモンパウダー、塩を混ぜ合わせ、滑らかなカスタードを作ります。

  4. カスタードを型に流し込み、約15分間、または表面に黒い斑点ができるまで焼きます。高温で焼くことで、パフペストリーがシャキッと仕上がります。

なぜこれが効くか

パステル・デ・ナタは、パフペストリーと卵黄カスタードの組み合わせによって、独特な食感と風味を生み出します。パフペストリーは高温で焼くことで、外側がパリッとし、内部がふわっとした仕上がりになります。この焼き方により、表面に特徴的な焦げ目ができるのです。注意すべきは、オーブンの温度です。低すぎると、パフペストリーが膨らまず、カスタードがしっかり焼き切れません。逆に温度が高すぎると、表面が焼きすぎて焦げてしまうことがあります。もし生地が破れてしまった場合は、別の生地を用意し、再度敷き直すことで、次回の成功に繋がります。焼き上がったタルトは、冷やしてから提供すると、風味がより際立ちます。

ありがちな失敗

  • カスタードが固まり切る前に取り出してしまう(食品安全の最重要ポイント)。 パステル・デ・ナタのカスタードは中まできちんと火を入れる必要があります。特徴の黒く焦げた斑点は表面が極めて高温に達した証であり、中心も液状ではなく固まっている必要があります。 目安: カスタード中心が完全に固まり、生卵のように揺れない。表面はしっかり黒い斑点が出る(薄い黄金色ではダメ)。中心温度は卵黄タンパクが完全に凝固する約80℃以上が目安。 なぜ大事か: カスタード内の生卵にはサルモネラ菌(食中毒を起こす細菌)のリスクがあります。250℃の高温焼成こそが卵の低温殺菌(加熱で病原菌を死滅させる工程)の役目を果たし、淡い色のまま取り出したタルトはその工程を完了していません。表面の黒い斑点は飾りではなく、表面温度が殺菌閾値を超えた視覚的なサインです。 どうするか: 上面にはっきりした黒い斑点が出て、型を軽く揺らしたときカスタードが液体ではなく一体として揺れ、生地が深い黄金色になるまで焼きます。家庭用オーブンが250℃に届かないなら、時間で補ってください。時間を短縮するのは絶対にダメです。
  • オーブン庫内温度が足りない。 多くの家庭用オーブンは扉を開けた瞬間に15〜25℃下がります。250℃で開けて230℃に落ちると、パフ生地は膨らみきらず、カスタードも斑点が出ません。 目安: 30分以上しっかり予熱し、熱した天板やストーンの上で、最上段で焼く。 なぜ大事か: パフ生地(バターを小麦粉生地で何度も折り込んで薄い層を作る「折り込みパイ生地」のこと)は内部の水分が蒸気になって急膨張することで層が割れます。熱の立ち上がりが遅いと層は重く粘り、カスタード表面の斑点も形成されません。 どうするか: 最低30分予熱(本当にこの長さが必要)、重い天板を予熱中に庫内に入れて蓄熱体にし、その上にマフィン型を直接乗せます。家庭用が250℃に届かないなら、最高温の上火または「ブロイル+ベイク」併用機能を使ってください。
  • 生地に入れすぎる。 カスタードは加熱中に膨らんで沸騰するため、入れすぎたタルトはあふれて生地のフチを汚し、天板に焦げた糖の池ができます。 目安: 殻の2/3〜3/4程度まで。膨張する余地を残す。 なぜ大事か: カスタードは熱で卵タンパク質が変性し、抱き込んだ空気が膨らむため上に持ち上がります。入れすぎると焼き菓子から「オーブン事故」になります。 どうするか: 殻の3/4までで止めます。冷めた後に少しへこむタルトがあっても、カスタードは冷却で収縮するので自然な現象です。
  • 残ったタルトを常温のまま放置する(食品安全の最重要ポイント)。 卵とクリームのカスタードは常温で細菌が増えやすい媒体です。 目安: 焼成から2時間以内に冷蔵庫へ。約2日以内に食べ切る。 なぜ大事か: およそ5〜60℃の「危険温度帯」では、焼成で死滅しなかった細菌がクリーム・卵のカスタードで急速に増殖します。パステル・デ・ナタは焼いた当日が最高ですが、残った分は必ず冷蔵してください。 どうするか: ほんのり温かい程度(30〜60分)まで冷ましたら、密閉容器で冷蔵します。再加熱は高温(250℃で3〜5分)で生地をパリッと戻すのが理想 — 電子レンジは食感を殺します。

見極めのポイント

  • カスタード表面に出る黒に近い焦げ斑点 — 淡い金色でも単なる茶色でもなく、実際にチャー(焦げ)の塊が見えること。これがこのタルトの視覚的な署名で、ないものはパステル・デ・ナタではなく、ただのパフ生地カスタードタルトです。
  • 噛むと割れる生地 — きれいな破断線とパリッとした食感。しっとり柔らかい生地はオーブン温度不足の証です。
  • 固まっているが弾力ではなくクリーミーなカスタード — スプーンで触ると艶があってなめらかに分かれる。ゴム状でも水っぽくもない状態。
  • 少し膨らんでから落ち着く形 — 焼きたては中央がふっくら膨らみ、冷めるにつれてゆるい凹形に落ち着きます。最初から平らなままなら、卵や空気が十分に膨張していません。

歴史メモ

パステル・デ・ナタは18世紀以前、リスボン・ベレン地区のジェロニモス修道院でカトリック修道士たちが作り始めたとされています。当時、洗濯洗剤がない時代に修道院では衣服の糊付けに卵白を使っており、余った卵黄を活用して菓子を作るのが習慣でした(Wikipedia / Pastéis de Belém)。1820年のポルトガル自由主義革命を経て1834年に修道院が閉鎖された後、修道士たちは秘伝のレシピを近隣の精糖工場に売り、1837年から「Pastéis de Belém」の名で商業生産が始まりました。同店は今も営業を続けており、オリジナルレシピは常時3名のみが知る企業秘密として守られていると伝えられています(Trafalgar)。

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