仔牛のフォン
Veal Stock|各国共通読み:こうしのフォン
自家製の仔牛ストックは、風味豊かなソースの基盤となります。

材料
- 仔牛骨 1kg
- 玉ねぎ 2個
- 人参 2本
- セロリ 2本
- 水 3リットル
- タイム 2枝
- ローリエ 2枚
- 黒胡椒粒 10粒
- 塩 適量
手順
仔牛骨をオーブンで180℃で約30分焼いて、焼き色をつけます。この工程で風味が増します。
鍋に焼いた骨、粗く切った玉ねぎ、人参、セロリを入れ、水を加えます。
中火で沸騰させ、その後弱火にして、アクを取り除きながら約6時間煮込みます。
煮込みが終わったら、タイム、ローリエ、黒胡椒を加え、さらに30分煮ます。
ストックをこし器でこし、容器に移し、冷まします。必要に応じて塩で味を調えます。
なぜこれが効くか
仔牛ストックは、豊かな風味とコクを持つ液体です。骨を焼くことでメイラード反応が起こり、深みのある香ばしさが加わります。その後の長時間の煮込みにより、骨からゼラチンや風味成分が抽出され、ストックが濃厚になります。アクを取り除くことは、清澄なストックを得るために重要な手続きです。もしストックが濃すぎる場合は、水を加えて調整すれば、理想的な濃度に戻すことができます。また、ストックを冷凍保存することで、必要な時に使える便利な調味料として役立ちます。
ありがちな失敗
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グツグツ煮立たせる。 強い沸騰はストックを濁らせ、脂を液体に乳化させてしまう。
- 目安: 「フツ…フツ…」と1〜2秒に一度ぽつりと泡が立つ程度。表面が波立たない静かな煮込み。
- なぜ大事か: 強火で煮立てると脂とアクが浮かずに液体側に混ざり込み、濁って脂っぽいスープになる。これではソースへ煮詰めても澄まない。
- どうするか: 一度沸かしてから火を弱め、表面がわずかに揺れる温度を保つ。蓋をずらして蒸気を逃がし、温度が上がりすぎないようにする。
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骨を焼かずに入れる。 生の骨で取ると、色も風味も薄いストックになる。
- 目安: 200℃で30〜40分、骨の切り口がしっかりキャラメル色になるまで。薄いきつね色ではなく、深い茶色。
- なぜ大事か: 骨を焼くことでメイラード反応が進み、ブラウン・ヴィール・ストックを白いストックと区別する色・香り・コクが生まれる。
- どうするか: ミルポワと一緒に天板に並べてしっかり焼く。天板に残った旨味は水で煮溶かして鍋に加える(デグレース)。
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煮込み中に塩を入れる。 ストックは「煮詰める素」。今ちょうどよくても、後で塩辛くなる。
- 目安: 煮込み中の塩は一切不要。使うときのソース・スープ段階で味を整える。
- なぜ大事か: 1リットルのストックは250 mlのソースに煮詰まることもある。塩は4倍に濃縮され、後から戻すことはできない。
- どうするか: ストックの段階では完全に塩抜き。味見はあくまで「使う料理を仕上げるとき」に行う。
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最初に一度だけアクを取って放置する。 アクは最初の1時間で次々と上がる。とくに下茹でしていない骨の場合はなおさら。
- 目安: 最初の1時間は10〜15分おきに灰色のアクをすくう。その後は1時間ごとの確認でよい。
- なぜ大事か: ストックの澄み・色・味の清潔感は、この最初の1時間で決まる。残ったアクが全体をくすませる。
- どうするか: 小さなお玉と受け皿をコンロ脇に置いておく。表面に浮いた灰色だけをすくい、縁の脂は最後にこすときまで残しておく。
見極めのポイント
- オーブンから出した骨が、香ばしくナッツのような深い香りを放っている状態 — メイラード反応(タンパク質と糖が加熱で結びついて生まれる、焼き色と香ばしさのもとになる化学変化)の層がきちんと入った証拠。
- 煮込み中の表面が「波立つ」のではなく「かすかに震える」程度 — 澄んだストックの肌理はここから始まる。
- こしたときに、濁りのない透き通った濃い琥珀色の液体としてザルを通り抜けてくる様子 — 脂の浮きもない。
- 冷ましたあと冷蔵庫で固まり、ゼリー状に揺れる感触 — コラーゲンがしっかりゼラチンに変わった証拠。
歴史メモ
仔牛のフォン(veal stock — 仔牛の骨を長時間煮出してとる、ソースや煮込みの土台となる旨味の濃い液体)はフランス古典料理の基礎をなす素材です。オーギュスト・エスコフィエの『Le Guide Culinaire』(1903年)では、ブラウンの仔牛フォン(fond brun de veau — 骨をあらかじめ焼いてから煮出した、色と香ばしさの濃いもの)と白い仔牛フォン(fond blanc de veau — 骨を焼かずに下茹でして取る、淡くニュートラルなもの)が書の冒頭近くに位置付けられ、エスパニョール、ドゥミグラス、各種ソースや煮込みなど、その後に続く多くの料理の基盤として扱われています。骨を焼いて長時間煮込むという技法そのものは、エスコフィエが体系化・簡素化する以前のカレームら19世紀の料理人の仕事を引き継いだものです。
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