Terumi Morita
February 12, 2026·料理科学·2分・約1,025字

マヨネーズと軍用食の仕組み

『1943年に米軍が秘密のマヨネーズ仕様書を出した』という話は裏づけが弱い。確認できるのは、マヨネーズが後に連邦政府の調達規格で標準化され、作戦用レーションにも使われる食品になったという、もっと地味で確かな記録だ。

「1943年、アメリカ軍がマヨネーズの秘密の化学仕様書を出した」という話は、いかにも魅力的だが、確認できる記録より先に物語が走っている。私は、その1943年という具体的な仕様書も、ヘルマンズが戦時中に生産の大部分を軍需契約へ振り向けたという関連の話も、信頼できる形では裏づけられなかった。確認できるのは、もっと地味で、むしろ制度として興味深い記録である。連邦規格 EE-M-131 はマヨネーズを扱い、その後継である A-A-20140 は、マヨネーズ、サラダドレッシング、タルタルソースを政府調達用の食品として定義し、作戦用レーションの構成品としても扱っている。工業食品が軍事ロジスティクスになるのは、成分、品質、包装、性能を大規模に再現できなければならないからだ。

瓶の中の化学を見ると、なぜ標準化しやすい食品なのかがわかる。マヨネーズは油中水型ではなく水中油型の乳化物で、卵黄に含まれるレシチンなどのリン脂質とタンパク質が主に乳化を支える。酸は風味に加え、製品を意図した酸性域に保つ役割も担う。こうして濃厚で塗りやすく、規格どおりに大量生産しやすい食品になる。ただし、それは開封後の瓶やマヨネーズを使った料理が一律に常温保存できるという意味ではない。保存は製品表示と通常の食品衛生の指針に従うべきである。

軍の給食は、栄養だけでなくロジスティクスの問題でもある。調達し、運び、保管し、分け、提供できなければならず、それでも人が実際に食べたいと思える程度には親しみやすい必要がある。標準化は、そうした変数を予測可能にするためにある。調味料が役立つのは、それが「秘密兵器」だからではなく、小さく馴染みのある食品が、規格化された食事を食べやすくするからだ。

だから、残っている規格の系譜そのもののほうが、派手な逸話より面白い。マヨネーズも他の調達食品と同じように、成分、品質、包装、検査の基準を持つ品目として扱われている。後年の A-A-20140 は、マヨネーズを連邦政府向けに使用できる食品、そして作戦用レーションの構成品として明記している。

この文章の以前の版では、1943年の仕様書、ヘルマンズの戦時契約、野戦食への供給という話を確定した事実として書いていた。信頼できる裏づけが取れなかったため、それらの具体的な記述は撤回する。残る歴史は少し地味だが、はるかに強い。マヨネーズは、普通の食品を安定した供給物資へ変える、近代的な標準化の仕組みの中に組み込まれていったのである。

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